とある小遣い稼ぎについて




「……ってことが、この前あったんだよな」
 そう話して沙明は、笑いながらグラスを置いた。

「許せません。ソイツの家はどこですか」
 レムナンの声は低く、怒りをなんとか押し殺そうとしている声色だった。
「いやいや、もういいんだよ。それきり連絡取れなくなっちまったからさ」
「そうは言っても、その人は……沙明さんに呪いを移し替えようとしたって、ことですよね」
 俺は話題をミスったことを悟りつつ、努めて軽く返す。テーブルの上の琥珀色の液体が、彼の拳の震えで小さく揺れているのが目に入った。
 グラスの底で、氷の砕ける音だけが寂しく響く。

「……友達だと思ってたんだけどなァ」
 そう呟いてしまった俺を、レムナンの方が悲しげな目で見ていた。